つき合い方
テレビから「ボラギノールクオリティー」という言葉が聞こえてきて吹きました。「クオリティー」という言葉…凄い。
台所で食器を洗おうと、袖を捲り上げた瞬間、左腰から背中にかけて縦に「ピシーっ」と軽く何かが走った感じがしました。「あらー、これは…」と予想した通り、もの凄く軽めのぎっくり腰みたいな痛みが残りました。翌朝に起きるのが少しだけ辛い程度で、今はほとんど何ともありません。こんなことあるんですね。
その動作の何かが悪かった、というより、それがとどめの一撃になっただけなのでしょう。いっぱいに水が入ったコップに、一滴の水滴が落ちて、水が溢れたように。落ちたのが一滴だったから、溢れ出たのも一滴程度のものだったのかもしれません。僕の腰はもう長いこと水が溢れそうな状態が続いていたのでしょう。
アーサナをしているのにそんなことになるなんて、やり方が悪いんだ、とお叱りを受けるかもしれません。返す言葉もありません。
この十何年間、結構アーサナの練習はがんばってきたつもりです。ありがたいことに、柔軟性はそこそこ向上し、女性と比べると筋力はあるので、まぁまぁいろんなアーサナを楽しむことはできました。だけど、骨格的にはアシュタンガヨガをするにはちょっと厳しいところもある。それはほとんど誰しもがそういうところがあるのでしょうけど。そうなんだけど、僕は克服したい気持ちが強すぎたと思います。骨格のミスマッチを柔らかさと強さでカバーして、絶対できるようになってやる!と。
カバーをすれば負担は増える。これはもう自明の理です。そうやって日々少しずつ水を溜めていっていたんじゃないかなぁと思います。ここ数年、水が溢れることが多くなってきて、最近はしょっちゅう小さく溢れるようになりました。今は、気をつけるべきポイントだけ押さえて、日常生活に困らない程度にアーサナの練習をしています。変な話ですが、今が一番ヨガをしているかも。
長くやっていると、痛みや不調は出てきます。アーサナの練習をして痛みが出ると、痛みがどんなものであれ、やり方をその原因にしてしまいがちですが、それは違うと思っています。食事や睡眠、ストレス、姿勢、体型の変化、環境の変化、挙げ出したらキリがないくらい多くの要素があります。その全部を引っくるめて体の状態があります。なので、アーサナをすると痛むからと言って、すぐにアーサナの練習をやめない方がいいと思う。ヨガから得られる効果・効能は様々ですから。体の一部が痛むとしても、全体で見れば健康に寄与する部分はかなり大きいと思うんです。週に1〜2回のヨガだとしても、全身の筋肉や骨、関節、内臓に刺激を与えられるし、当然ですが脳や神経にも刺激があります。「私は健康に気をつけている」という気持ちの維持にも役立つはずです。これがなくなると、どんどん崩れていきませんか?美味しいものを食べた。楽しくお酒も飲んだ。だからヨガがんばる!でもいいんです。その逆もありですね。ヨガがんばったんだから、美味いもの食べるぞ!と。
とは言え。
やっぱり痛みは嫌だ。痛みが強いうちは、やり方を緩めたり、やり方を徹底的に見直してアーサナクオリティー(言いたいだけ)を上げた方がいいでしょう。最大限お手伝いさせていただきます。
とことんまでのめり込む時期があっていいと思います(というか、それがないとつまらないとすら思える)。そして、それが落ち着いてくることもある。自分がどの時期なのかを見極めて、それに合ったヨガとの付き合い方を見つけていきましょう。