力を発揮させるための力
もう新しく葉っぱは出てこないかもしれん、と思っていたゴムの樹ですが、土を替えてから1ヶ月たって、ついに生まれてきました。
新しい葉っぱを見るのはいつだって嬉しい。
えー、最初に言っておきます。おそらく多くの人が最後まで読まないか、適当に飛ばし読みするであろう、専門用語多めで、しかも長いブログです。
いま身をもって感じていることがあります。腰の筋肉の緊張が強いと、腹筋を働かせづらいです。以前は感じたことありませんでした。腹筋が使いづらいだなんて。
腰椎から仙骨(骨盤の真ん中の骨)にかけての緊張が強く、骨盤を後傾させようと(その緊張している腰の筋肉をストレッチしようと)しても、張りの強さと痛みでうまくできません。できなくはないのですが、時間が掛かります。
その動作が比較的やりやすいのは仰向けなのですが、それも、骨盤だけの動きでやろうとすると、少し苦労します。そこで、骨盤の動きを促すために、頭を持ち上げるようにしてやると、かなりやりやすくなるのです。
ヨガする人ならほとんど全員やったことがあるであろう、四つ這いで身体全体を丸めたり反らせたりするあの動作です。後頭骨〜背骨〜仙骨には自然な連動として、頭を前に倒すと背骨が丸まり、骨盤は後傾する、というパターンと、頭を後ろに倒すと背骨は反り、骨盤は前傾する、というパターンがあります。
僕が仰向けでやったのは、前者のパターンです。僕はこれでうまくいくのですが、これを仰向けでやろうとすると、頭を持ち上げておくのがつらい人もいます。単純に筋力不足ということもありますが、もう一つ知っておくと使える知識がありますので、紹介します。
仰向けで頭を持ち上げるメインの筋肉は胸鎖乳突筋という筋肉です。持ち上げようとしたら、モリッと盛り上がる首の横から前にかけての筋肉です。この筋肉は、その名の通り、頭の乳様突起というところから、一つは鎖骨に、一つは胸骨にくっつきます。ググってもらえるとよく分かります。
その知識というのは、単純にその筋肉が弱いとは言い切れないよ、という話です。まずはクラスでよく話す例え話で説明します。
あなたがいま海の堤防に立っています。少し離れた海に、3人の大人を乗せたボートが一隻あります。ボートを漕ぐためのオールを失くしてしまったらしく、あなたに向かってロープを投げ、それを引っ張ってボートを堤防に寄せてくれと呼びかけてきました。
あなたはロープをググッと力を込めて手繰り寄せ、ボートを堤防に引き寄せ、3人は無事に陸に上がれましたとさ。めでたしめでたし。
…とならないのはどんなパターンが考えられるでしょうか。ボートの重さは普通で、大人の体重も普通です。答えはいくつかあるでしょうが、ここで大事にしたいのは3つです。
① 引っ張るあなたの筋力が弱かった
② 筋力はあったが、あなたの足元がアイスバーンだった
③ 筋力不足な上に、足元がアイスバーンだった
単純な筋力不足か、筋力を発揮するための環境が悪かったか、その両方か、という話です。さっきの胸鎖乳突筋の話に置き換えて考えましょう。
① 単純に胸鎖乳突筋の筋力不足
② 筋力はあったが、胸鎖乳突筋が力を発揮しづらい環境だった
③ 両方
①は説明不要ですね。
問題は②です。胸鎖乳突筋の足元がアイスバーンてどういこと?解説しましょう。
頭を持ち上げるということは、頭を床から持ち上げて、胸骨や鎖骨の方に近づけるということです。具体的には、胸鎖乳突筋が付着する頭の一部(耳の後ろ)の乳様突起を、もう一方の付着部である胸骨や鎖骨の方に引っ張るということ。
乳様突起が引っ張られる方だからボート。あなたがいるのは胸骨や鎖骨。リアルに想像してください。アイスバーンの上でボートを引っ張ったら、おそらく重さの軽いあなたの方が、足元を滑らせてボートに向かって引き寄せられてしまうでしょう。言い換えると、胸骨や鎖骨の方が、乳様突起に向かって動いてしまう、ということです。これでは、頭を安定して上げていられません。
大丈夫ですか?ついてこれてます?
じゃあ、胸骨をその場に安定させる力って?それは腹筋です。腹筋の力で肋骨をお腹の方に向かって引き下げておかないと、その肋骨がくっついている胸骨が安定できません。
試しに仰向けになってやってみましょう。息を吐き切ってから、吸いながら頭を持ち上げるバージョンと、息を吸い切ってから、吐きながら持ち上げるバージョン。
どちらが持ち上げやすいですか?吸いながらやると、肋骨が上がってくるのでやりづらくありませんか?
この動作の主動作筋は胸鎖乳突筋で、固定筋は腹筋になります。主となる筋力が弱いわけじゃなくても、それが力を発揮するための、足元を固定する役割の力が弱かったり使えていないために、うまく動作を行えない場合があります。
よく体幹がどうこうという話を聞きますが、これも同じで、手脚の力を発揮するためには、体幹が安定している必要があるということだと思います。いくら腕や脚を鍛えても、体幹に安定がなければ、力を発揮できないよということです。
専門用語が多くて、基礎知識がないと理解が難しかったかもしれません。
趣旨は「スワンボートに乗ろうよ」ということでした。
ほな、バイちゃ(昭和)