チャンネル
予定まで時間があったので、服屋で商品を物色していたところ、スーツケースを引いた若い男性が、「すみません」と声をかけてきて、スマホの画面を僕に見せてきました。面識ない人だし、いきなりスマホの画面を見せようとしているし、まったく意味が分からなかったのですが、返事をして画面を覗き込むと、そこにはそのお店の商品の画像が。
「この商品はどこにありますか?」
って、この前のUNIQLOのワシやないかい。店員じゃないですよ、と伝え、お互い笑い合ってさよならしました。
あの時のお姉さんも笑ってくれたら良かったのになぁ。
「意識」はテレビとリモコンのようなものだな、と思います。テレビは一つの番組を映し出します。リモコンの1chのボタンを押せば、そのチャンネルの番組が。2chも同じように。
仮に、1chが身体、2chが呼吸、3chが思考だとしましょう。意識を身体に向けたいときは、リモコンの1chを押すし、呼吸に意識を向けたいときは2chを押します。二画面で両方を同時に観ることが出来なくはないですが、集中して内容を把握することは難しいと思います。ちゃんと観れるのは1つだけ。
身体や呼吸に意識を向けたいときは、「意識的に」そのチャンネルに合わせなきゃ観れないけど、思考のチャンネルはどうでしょう。ほぼ無意識じゃないかと思います。意識的に何かについて考えようとするときを除けば、気がつけばテレビには思考chが映し出されている。リモコンのボタンを押してもいないのに、自動的に。過去のこととか未来のこと、はたまた妄想など。
この自動的に思考chへと切り替わっていることに気づけるかどうかは、ヨガのひとつの練習じゃないでしょうか。アーサナの練習で身体chを観ていたはずなのに、気づいたら思考ch。瞑想の練習で呼吸chを観ていたはずが、いつの間にか思考ch。今やるべきことをやっていたはずが、自動切り替えで思考ch。何かのきっかけで妄想ch。
思考chをテレビが映し出していることに気づいたとき、そこには具体的には何が映し出されていたのか、そこを自覚することも練習になります。続けていると自分の思考の癖が掴めてくると思います。僕はよくこれをやっていて、「あー、またこんなこと考えてた。止めよ」ってことをやります。おもしろいですよ。やってみてください。
鳩が飛び出してきたり、店員に間違われたり、出かけると、おもしろいことに出くわす可能性が増しますね。